
出会い系サイトとは異性同士が出会いを求めて、利用するホームページです。
そして出会い系サイトには、子供たちを守るための出会い系サイト規制法という法律が定まっています。
今回は、この法律がどんな目的で、なにを、どのように規制しているのかをご説明します。
もくじ
出会い系サイトの利用の現状
出会い系サイト規制法に触れる前に、出会い系サイトが現在どのくらい使われているのでしょうか。
出会い系サイトを利用したことがありますか?という質問に対し、「ある」という方が結構いるのではないでしょうか。
実際に、警察庁が中高生の女子に行ったアンケートによると、高校生で8.7%、中学生で7.1%が出会い系サイトにアクセスした経験があると答えています。
つまり「10人に1人弱は出会い系サイトにアクセスしたことがある」ということですよね。
実際に私も、出会い系サイトにアクセスしたことがあります。私の友人では、出会い系サイトを利用し、そこで知り合った人と実際に会った人もいます。
出会い系サイトは、割と身近であるのかもしれませんね。
出会い系サイトと犯罪
さて、「出会い系サイトが身近な存在である」と前述しました。きちんとした人がきちんとした使い方をすれば、異性と出会える幅が広まり便利ですよね。
しかし残念ながら、便利という一言だけでは片付けられない問題も潜んでいます。それが、出会い系サイトを利用した犯罪です。
平成26年中で犯罪被害にあった18歳未満の男女が152人にも及びます。被害にあった人の半分は、児童買春によるもので、強姦や児童ポルノに関係する犯罪もあるようです。
このデータからわかるように、性犯罪に関連した犯罪が多く起こっているのです。
ここまで、出会い系サイトに関することを言ってきましたが、次からは本題の出会い系サイト規制法について解説していきます。
出会い系サイト規制法とは
正式名称は「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」という長い名前になります。
いったい何を規制する法律なのか、というと法律内では、
インターネット異性紹介事業について必要な規制を行うこと等により、インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、もって児童の健全な育成に資することを目的とする。
と定義されています。
この難しい言葉で書かれた法律を簡単に説明すると、前提として、「インターネット異性紹介事業」は「出会い系サイト事業」のことであり、「児童」とは「18歳未満の少年少女」を指します。
要は、児童買春や児童の性犯罪やその他の犯罪を防止するための法律なのです。
出会い系サイトの利用に起因した犯罪が社会問題となっていた頃に制定された法律です。平成20年には、規制の強化のために改定施行されています。
結果はどうなっているのか、警察庁の資料によると、出会い系サイトに関係する事件は減少しているものの、重要犯罪の検挙数は変化していないようです。
では、詳しくはどんな法律の内容であるのかを見ていきましょう。
法律の内容
出会い系サイト規制法では、出会い系サイト事業を行う人は、警察に「出会い系サイト事業をします!」と届け出をしなければならず、サイトの利用者が児童売春などの犯罪をしないように規制するのです。
例えば、次のようなことが規制されています。
- 出会い系サイトに、児童を相手にして、交際を求める書き込みをすること
- 出会い系サイトに、児童を相手にして、性交の関係を求める書き込みをすること
- 出会い系サイトに、児童を相手にして、金品を目的とした交際を求める書き込みをすること
下の2つに関しては、処罰の対象になります。
そもそも、児童は、出会い系サイトを利用してはいけないことになっています。そこで、出会い系サイト事業を行う人に求められていることがあります。
児童による利用の禁止の明示
広告や宣伝では、表題部に、児童が出会い系サイトを利用してはいけないこと、もしくは「18禁」と表示する必要があります。
児童でないことの確認
年齢か生年月日のわかる身分証明書の提示または、児童が普通使えない料金の支払方法の同意をしなければなりません。その上で識別符号を与えている場合は、利用の際にその識別符号を送信してもらい、児童でないことを確認するのです。
また、出会い系サイト内で個人情報を掲示しなかったり、個人同士で連絡しあえなかったりする場合には、インターネットで年齢か生年月日を送信してもらうか、問い合わせて児童でないか確認するという方法でも良いとされています。
出会い系サイト規制法では、インターネット異性紹介事業に必要な電気通信役務を提供する事業(法律内の表記)、つまり出会い系サイトに必要な電気通信役務を提供する事業者(プロバイダ等)や児童の保護者は、児童が出会い系サイトを利用しないように、パソコンや携帯電話などについて、フィルタリングサービス等を使うように努めることを求めています。そのため、携帯電話事業を行う会社などでは様々なサービスを提供しています。
では、出会い系サイト事業(インターネット異性紹介事業)の定義は何なのでしょう。その点を詳しく見ていこうと思います。
出会い系サイト事業(インターネット異性紹介事業)
出会い系サイト事業を、出会い系サイト規制法では、インターネット異性紹介事業を次のように、定めています。
異性交際(面識のない異性との交際をいう。以下同じ。)を希望する者(以下「異性交際希望者」という。)の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信(電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号 に規定する電気通信をいう。以下同じ。)を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業をいう。
上記の内容は、4つのポイントでまとめることができます。
- 面識のない異性と交際をしたい人に対して、その人の異性交際に関する情報をインターネット上の掲示板に掲載するサービスを提供している
- 異性と交際をしたい人の異性交際に関する情報を一般の人たちが見られるサービスである
- インターネット上の掲示板に載せられている情報を見た異性と交際を希望する人が、その情報を載せた、同じく異性と交際したい人と電子メールなどで、連絡を取り合えるサービスである
- 有料無料に限らず、これらのサービスを繰り返し提供している
この①~④を満たしているときに、出会い系サイト事業(インターネット異性紹介事業)というのです。
では、具体的にどんなサイトであれば、出会い系サイト事業をしているといえるのでしょうか。
出会い系サイト規制法の対象となるサイト
例えば、こんなサイトであれば、出会い系サイトであるといえます。
Aサイト
「あなたの運命の相手がここに!完全無料の会員制サイトだから安心^^登録すれば、誰でも利用できます!プロフィールと自己紹介文でアピールして、自分にぴったりの人を見つけましょう。サイトは、随時更新しています。気になる彼(彼女)には、すぐメール交換もできます!」
こんなに、出会い系サイトであるポイントが並べられたものも珍しいと思いますが、これについて、すでに説明してある出会い系サイト事業(インターネット異性紹介事業)の4つのポイントに当てはめて、見ていきましょう。
①面識のない異性と交際をしたい人に対して、その人の異性交際に関する情報をインターネット上の掲示板に掲載するサービスを提供している
これに関しては、プロフィールや自己紹介文を出会い系サイトに載せることが当たるでしょう。出会い系サイトには、年齢や居住地域はもちろん、年収まで表示されることもありますからね。
②異性と交際をしたい人の異性交際に関する情報を一般の人たちが見られるサービスである
これは、出会い系サイトにアクセスできる人なら誰でも見ることができる出会い系サイトである、ということが当たるでしょう。例え会員制サイトであっても、誰でもアクセスできるのであれば、出会い系サイトである条件を満たしている、といえます。
③インターネット上の掲示板に載せられている情報を見た異性と交際を希望する人が、その情報を載せた、同じく異性と交際したい人と電子メールなどで、連絡を取り合えるサービスである
プロフィールや自己紹介文を見て、自分が興味を持った人や好印象の人に対して、メールなどができる機能を有していれば、当てはまるわけです。気になる人と、すぐメールをし合えるわけですから、これも条件を満たしていますね。
④有料無料に限らず、これらのサービスを繰り返し提供している
有料無料は関係ないわけですし、随時更新しているので、繰り返しサービスを提供もしていますよね。
つまり、①~④の項目にすべて合致しているため、Aサイトは、出会い系サイトである、といえるのです。
しかし、実はこの出会い系サイト規制法にも、抜け道のようなものが存在しているようです。「これは出会い系サイトとなにが違うの?」と感じても、出会い系サイトとして届け出をせずに済んでいるものがあるのです。
では、どんなサイトであったら届け出をしなくていいのでしょうか。
出会い系サイト規制法の範囲外のサイト
例を挙げるとすれば、次のようなサイトです。
Bサイト
「有料制だからこそ質の高い出会いがあります。グループチャットで素敵な人たちと会話しちゃおう!まずは、プロフィールを登録するだけ。サイトの情報は、1時間ごとに更新します!」
Cサイト
「無料登録制。メールで、男同士の熱い話、女だけの秘密の話ができます!さっそく、自分の情報を書いてみましょう。情報も常に新しいものが!」
「さっきと同じような内容ではないか」と思っている人もいるかもしれませんが、BサイトとCサイトには、出会い系サイトに当てはまらないそれぞれ1つのポイントがあるのです。
①相互ではない
出会い系サイト規制法では、「相互」で連絡を取れること、つまり、1対1であることが定められています。このことから、グループチャットで連絡を取り合うBサイトは出会い系サイトではないと捉えられるのです。
②異性ではない
Cサイトの文章を見てみると、「男同士」や「女だけ」とありますよね。要は、「異性」ではなく「同性」です。同性同士の出会いをサポートするサイトを規制するとは、出会い系サイト規制法には書かれていないのです。
以上の点から、BサイトとCサイトは出会い系サイトではない、となるのです。
実は、このような抜け道を利用したサイトがあるのが現状です。人によれば、ザルのような法律だと称する人もいるのです。
最後に、出会い系サイト規制法に違反すると、どのような罰則が科せられるのか、紹介しましょう。
出会い系サイト規制法での罰則
出会い系サイトの罰則は、3つの立場に対して与えられているものです。それでは3つの立場についてそれぞれ示していきましょう。
出会い系サイトを利用している人
・出会い系サイトを利用して児童を誘引した人(性交等や対償がない場合は除く):100万円以下の罰金
出会い系サイト事業者
・届け出をしないで出会い系サイトを行った人・名義貸しをした人・都道府県公安委員会の指示に違反した人:6月以下の懲役か100万円以下の罰金
・都道府県公安委員会の事業停止や廃止命令に違反した人:1年以下の懲役か100万円以下の罰金、または、これらを併科
・出会い系サイトを行うための届出書・添付書類に、または変更・廃止の届出書・添付書類に虚偽の記載をして提出した人・変更・廃止の届出をしなかった人・都道府県公安委員会の報告・資料提出の求めに応じなかった、または、虚偽の資料を提出した人:30万円以下の罰金
登録誘引情報提供機関(児童を誘引する行為についての異性交際情報を集め、出会い系サイト事業者に提供を行う人)
・登録誘引情報提供機関の役員や職員または、その職であったときに誘引情報提供業務に関して知った秘密を漏らした人:20万円以下の過料
・登録誘引情報提供機関でなく誘引情報提供業務を行う際に、登録を受けているなどの表示や紛らわしい表示をした人:10万円以下の過料
※過料とは、行政罰のことで都道府県知事等の行政庁が科します。
このように、様々な場合に応じて細かな罰則が決められているのです。
さいごに
出会い系サイト規制法を、出会い系サイトがどんなもので、どんな現状であるのかと併せて、紹介していきました。
法律となるとわかりづらい点もありますが、身近な出会い系サイトは18歳未満では使うことができなかったり、出会い系サイトの定義があったりと理解できたのではないでしょうか。
また、出会い系サイト規制法でも、同性やグループのメール交換などだと規制されないという意外な落とし穴もありましたね。
もし、出会い系サイトを使うのであれば、その点を注意して利用しましょう。