
電子消費者契約違反と架空請求という言葉を聞いて、スッと意味を思い浮かべることができる人は少ないのではないでしょうか?
これは、出会い系サイトだけでなく、ネットショッピングなどにも関わってくる大事な法律です。
このページでは、電子消費者契約法について、出会い系サイト当てはまる箇所、架空請求についてを解説していきます。
もくじ
電子消費者契約法とは
正式名は「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」という法律特有の長―いものです。
法律内では、
この法律は、消費者が行う電子消費者契約の要素に特定の錯誤があった場合及び隔地者間の契約において電子承諾通知を発する場合に関し民法 (明治二十九年法律第八十九号)の特例を定めるものとする。
とされています。
簡単に言えば、電子媒体を使った買い物の際の操作ミスを防ぎ、買い物の契約をきちんと受け付けた旨を消費者に伝えるということを定めた法律です。
さすがにこの説明だけではあっさりしすぎているので、もう少し詳しく見ていきましょう。
電子商取引などにおける消費者の操作ミスの救済
例えば、インターネットで商品を購入する際に、1つ注文しようと思っていたら2つ注文してしまっていたり、無料だと思っていたら有料であったり、そのような消費者による錯誤が起こることがあります。
法律では、このようなことをなくすために、事業者が対策を講じることを定めているのです。
つまり、事業者は、
- 消費者が申込みボタンを押したときに、申し込み内容の確認画面を表示する
- 申込みボタンを押すことは、購入(有料)であることを消費者がボタンを押す前に明示する
ということをしなければならないのです。
このことから、ワンクリック詐欺などはこの法律の対象外となるのです。
電子商取引などにおける契約の成立時期の転換
電子契約では、事業者から申し込み承諾の通知が届いた段階で、契約が成立したとみなされます。
申し込みをしたというだけでは、支払いの義務は生じないのです。
承諾の通知は、電子メールやFAX、留守番電話が対象となり、電話を使用して対話しながら行う場合は対象にはなりません。
なぜなら、この法律の対象となるのは、隔地者間の契約=申し込みに対する応答が直ちにされる対話者間の契約以外の契約の場合であるからです。
電子消費者契約法を説明したところで、出会い系サイトにおける例を紹介しましょう。
出会い系サイトでの電子消費者契約法の例
例えば、有料出会い系サイトに登録する場合などに、このような手順を踏むこととなります。
- 出会い系サイトに登録したい!
- 有料出会い系サイトとなっています、という表示
- 年齢確認の表示
- 18歳以上であることの証明をする
- 利用規約の表示とともに、有料サイトであることの表示
- 利用規約を確認する
- 再び、有料サイトであることの表示
- 確認後、契約する
このような手順となります。
見てわかる通り「有料」サイトであることを確認されていますね。出会い系サイトでも、このような確認をきちんとすることが義務づけられているのです。
その後、電子メールなどで、契約の承認を行ったという通知が来るようになっているのです。
ここまでは、電子消費者契約法についてのお話でした。では次に、架空請求について見ていきましょう。
架空請求とは
そもそも架空請求とはなんなのかについてから、説明していきます。
架空請求とは、実際は利用していないサービスを利用したとして、金銭を架空に請求してくることです。
メールなどで、
- 「有料サイトの料金が未払いである」
- 「放置すると延滞料が加算される」
- 「支払わない場合は法的手続きに出る」
というような内容とともに、料金と銀行口座の情報が送られてくる、というようなものが一般的です。
いかにも、もっともらしいことのように書かれ、脅し文句などが入っていることもあります。
特に、「法的手続きに出る」なんて言葉を見てしまうと、驚いて恐怖を感じてしまうかもしれませんが、身に覚えがないのであれば、まったく気にする必要はありません。
架空請求のパターンというのは、よく似ているものが多くあります。
- 債務管理回収会社や弁護士からの請求である
- 脅し文句や慌てさせるような言葉が入っている
- 振込先が会社などではなく、個人口座である
- 連絡先が携帯番号である
など。
では、もっと詳しく架空請求の手口についてチェックしていきましょう。
架空請求の手口
架空請求とひとくちに言っても、その方法はさまざまあります。ここでは、その手法について解説していきます。
最終通告
あるとき、メールが届きます。題名は「最終通告」。本文には、このような内容が書かれています。
この度、お客様がご登録された当サイトの無料期間が過ぎました。
登録料金の1万円が発生しており、未払いの状態です。
翌日、正午までにお支払いいただけない場合は、身辺調査の上、回収、もしくは訴訟を起こさせていただきます。
退会の際は、電話での対応といたします。営業時間:平日9:00~18:00
○○株式会社
東京都○○区○○
080-○○○○-○○○○
担当:○○
架空請求の典型的なケースです。「最終通告」や時間が差し迫っているような提示、身辺調査、訴訟といった物騒な言葉が並んでいます。
しかし、ここで、焦って電話をしてしまってはいけません。電話をしてしまったら、情報が漏れてしまうからです。
また、メールに、口座を提示して、金銭を支払わせるという場合もあります。
住所が知られている!?
架空請求というのは、メールだけで来るわけではありません。中には、はがきが送られてくるというケースもあるのです。
住所と名前が合っているために、差し押さえや回収という言葉があると驚いてしまいます。
しかし、慌ててはがきに記載されている電話番号に電話すると、今度は電話番号という情報まで相手に渡してしまうことになります。
そうなれば、しつこく連絡を繰り返されるということになってしまうのです。
ブログを使っていたら…
ブログというのは、情報を伝えたり、知ったりする上で欠かせない便利なツールですよね。
しかし、ここにも、架空請求の罠が。ブログでしばしば見かける広告ですが、そこをクリックするといきなりサイトに登録され、料金を請求されるという場合があるのです。
代表的な架空請求のケースを紹介しましたが、架空請求というのは金銭を請求されるだけでなく、情報を奪われてしまうというのも怖いところです。
メールなどで送られてきた架空請求の中にはURLが記載され、それにアクセスすることで使用しているメールアドレスだと知られてしまったり、画像入りのメールが送られてきて、メールを開くと相手方のサーバを通じて画像が開かれ、メールをいつ開いたのかをわかられてしまったりします。
では、このような架空請求から逃れるためには、どうすれば良いのでしょうか。
架空請求の対処方法
厄介で怖く感じる架空請求ですが、対処方法としては無視というのが一番です。
相手方に連絡などをしてしまうと、逆に連絡先として認識され、何度も架空請求の連絡をされてしまいます。
また、面倒だからと金銭を支払ってしまうとカモとみなされ、請求が悪化していきます。そのため、アクションを起こさないというのが一番なのです。
それでも心配と思うならば、最寄りの消費生活センターに相談に行きましょう。
中でも、 「裁判所からの支払督促」や「少額訴訟の呼出状」のように思われる場合は、すぐに相談に行くのをおすすめします。
余りにも悪質な取り立ての場合は、警察に届けておくのも重要です。同じアドレスからくる架空請求はブロックするのが良いでしょう。
さて、無視するのが一番と言いますが、そのようなわけにはいかない場合もあります。そのケースを紹介しましょう。
例外:裁判所から出廷命令の通知
あるとき、架空請求の電話がかかってきましたが無視をしていました。しかし、請求書が送られてくるようになります。
それでも、問い合わせると弱効果だと知っていたため、再び無視をしていました。
その後、特別送達の手紙が届きます。裁判所で発行された正式な書類でした。知らない請求の内容で訴えられていたのです。
架空請求というのは、基本的にはランダムに多数の人に送っています。けれど、このケースは完全にターゲットを絞られているようです。
最近は、このようなケースも増えてきているのです。
この場合はどうすれば良いのかですが、金銭を払って取り下げてもらうというようなことはせず、出廷をしましょう。
出廷なんて恐ろしい…と思うかもしれませんが、裁判ではきちんとこちら側の意見も聞いてくれます。
こちらにはまったく非がないのですから、言い分を主張しましょう。
この場合は、無視をするという段階ではありません。裁判に出なければ、給与や財産の差し押さえをされてしまうのです。
さいごに
以上が、電子消費者契約違反と架空請求についての説明です。
難しい言葉ではありましたが、内容は案外簡単なものではなかったのでしょうか。
現代、犯罪が多くありますが、法律などでは消費者を守る工夫がされているのです。
また、架空請求という悪質なものにも屈しない方が良いようですね。もしものときに、今回の知識を生かしていただけることを祈ります。